【レビュー】lyrical school『WORLD’S END』– ヒップホップとポップの狭間で踊る、最高の“青春アルバム”

好きなもの気になるもの

先日、結成15周年を迎えた事でも話題のヒップホップアイドルユニット『lyrical school(リリスク)
数ある作品の中でも、今でも特に心に残っているのが2018年のアルバム『WORLD’S END』です。
当時5人体制として活動していたリリスクが、グループの勢いをそのまま詰め込んだ一枚。
ヒップホップというジャンルを、アイドルという入り口からこんなにも心地よく感じさせてくれた作品は他にありません。


作品について(基本情報)

  • タイトル:WORLD’S END
  • アーティスト:lyrical school(リリカルスクール)
  • リリース年:2018年6月19日
  • ジャンル:ヒップホップ/ポップス/アイドルラップ
  • 発売元:BootRock

収録曲

  • 【01】-PRIVATE SPACE- (skit)
  • 【02】つれてってよ 作詞:SUEKKO LIONS© / 作編曲: 坪光成樹 高橋コースケ
  • 【03】消える惑星 作詞:SUEKKO LIONS© / 作編曲: 坪光成樹 高橋コースケ
  • 【04】High5 作詞:BACCAS / 作編曲:Hercelot
  • 【05】夏休みのBABY 作詞: 大久保潤也(アナ)&泉水マサチェリー(WEEKEND) / 作曲:泉水マサチェリー(WEEKEND)
  • 【06】常夏(ナッツ)リターン 作詞: Bose(スチャダラパー) かせきさいだぁ / 作編曲 : SHINCO(スチャダラパー)
  • 【07】オレンジ 作詞: Ryohu(KANDYTOWN) / 作編曲:思い出野郎Aチーム
  • 【08】CALL ME TIGHT 作詞: 大久保潤也(アナ) / 作編曲:Anutha
  • 【09】Play It Cool 作詞: MELLOW YELLOW / 作編曲: Anutha
  • 【10】DANCE WITH YOU 作詞: 大久保潤也(アナ) / 作編曲:Anutha
  • 【11】Hey!Adamski! 作詞:ALI-KICK / 作編曲: ALI-KICK
  • 【12】WORLD’S END 作詞: 大久保潤也(アナ) &泉水マサチェリー(WEEKEND) / 作編曲:泉水マサチェリー(WEEKEND)

前作『guidebook』から約1年7ヶ月ぶりのリリースであり、2017年に新メンバー(hinako、yuu、risano)が加入してから初のフルアルバム。

アルバムは全12曲で構成される。
「夏休みのBABY」「つれてってよ」「CALL ME TIGHT」などのシングル曲に加え、ライブ定番曲「DANCE WITH YOU」や書き下ろしの新曲が多数収録されています。

制作陣も豪華で話題に。
スチャダラパーのBoseさんとSHINCOさん、Ryohu(KANDYTOWN)思い出野郎AチームAnuthaALI-KICKSUEKKO LIONS©Hercelotメローイエローなど、ヒップホップ界からポップフィールドまで幅広く活躍するアーティストが参加。

そして、アルバムジャケットを手がけたのは漫画家・イラストレーターの江口寿史さん。
白地に淡いトーンで描かれたポップな女性のイラストが印象的で、
音だけでなくビジュアル面でもリリスクらしい「スタイリッシュなポップ感」が詰まった作品です。


好きなところ・印象に残った部分

このアルバムを初めて聴いたのは、ラジオのおすすめ音楽コーナーでした。
紹介されていた「Hey!Adamski!」を聴いた瞬間、「あれ、ヒップホップってこんなに耳に馴染むんだ」と感じたのを覚えています。
普段ヒップホップはあまり聴かないタイプなのですが、
リリスクの音楽にはどこか懐かしさと清涼感があって、すんなり心に入ってくる。

特に好きなのは「消える惑星」と「オレンジ」。
前者は夜の街の静けさを感じさせるような、繊細なメロディと柔らかなラップが印象的。
BPMはゆったりなのに、気づくと身体がリズムを刻んでしまう。
後者「オレンジ」は思い出野郎Aチームによるファンク寄りのトラックが最高で、歌詞がほんのり切なさを残す。
この2曲だけで、彼女たちの表現の幅とグループとしての完成度を感じられると思います。

アルバム全体を通して聴くと、どこか“古き良きヒップホップ”の香りが漂います。
あまり詳しくはないけれど最近のトレンドとは少し違うような、90年代〜2000年代のポップヒップホップを思わせる軽やかさ。
韻を踏みながらも重たくなく、あくまで「楽しい」が軸になっている。
そのバランスが本当に絶妙なんですよね。

個人的には「アイドル」という存在が持つ“人懐っこさ”が、ヒップホップという硬派なジャンルを優しく包んでいるように感じます。
例えばロックでもエモでも、アイドルが歌うとまったく別の温度になる。
リリスクの音楽にもその“親しみやすさの魔法”がちゃんとあると思います。


気になった点・もう少し語りたいところ

このアルバムは、2017年4月の新体制から約1年後にリリースされた作品。
ライブ活動を経てグループとしての一体感が高まったタイミングでのリリースだったこともあり、
パフォーマンス面・歌詞面ともに完成度が高い印象です。

また、ジャケットアートを担当した江口寿史さんのイラストが本当に印象的。
(最近は少し別の話題で名前を聞くことが増えてしまいましたが…)
それでも『WORLD’S END』のアートワークは、今見てもポップで色褪せません。
この絵を見ると、2018年当時の音楽シーン全体がカラフルに蘇るような感覚になります。
このジャケは本当に大好きなのでオリジナル、元ネタがあっても全然かまわないが問題が無い物であってほしい・・・

そして何より、このアルバムから続く5人体制が大好きでした。
この後いくつかのリリース・数年活動ののち2022年7月の日比谷公園大音楽堂でのツアーファイナルをもって、その体制が終わってしまったのは正直さみしいところ。
今は新しいメンバーで活動を続けているようですが、自分の中ではやはり『WORLD’S END』の頃の5人のリリスクがマイ・ベストです。


関連リンク・参考情報

Spotify

lyrical school「つれてってよ」

lyrical school「消える惑星」

lyrical school「夏休みのBABY」

lyrical school「High5」

lyrical school「常夏(ナッツ)リターン」

lyrical school「常夏リターン ~ オレンジ」live at 新木場STUDIO COAST

lyrical school「DANCE WITH YOU」


まとめ

『WORLD’S END』は、ヒップホップを“かっこよくて楽しい”ものに変えてくれたアルバムです。
本格的なサウンドとアイドルらしい親しみやすさ、その両立がリリスクの魅力。
どの曲にも“青春の瞬間”が詰まっていて、聴くたびにあの頃の空気を思い出します。

リリスクを知らない人にも、ヒップホップが苦手な人にもすすめたい。
そして、あの5人のリリスクをもう一度思い出したいとき、
この『WORLD’S END』を再生すれば、きっと当時の光景が蘇るはずです。

created by Rinker
¥930 (2025/10/30 11:28:29時点 Amazon調べ-詳細)
created by Rinker
¥2,500 (2025/10/30 16:25:48時点 Amazon調べ-詳細)
タイトルとURLをコピーしました